インキュベイトファンド 代表パートナーのブログ（本間真彦）

英語のセッション、コミュニケーションの意義

今日は、シンガポールのインキュベーションスペースにて、ゲームベンダーや投資家、約30名を招いて、日本のゲームビジネスやスタートアップについてのセッションを行いました。

 

全て英語で、モデレータと1時間以上対談したり、Q&Aセッションを行ったのはあまりなかったので、すごく良い経験になりました。今日本で起きている、ネイティブの流れ、パズドラやコロプラの成功、ゲームプラットフォームとゲーム開発会社のエコシステム、初期のgumiやポケラボがどう経営の意思決定をしたのか、といったことを、話しました。

 

海外の起業家やスタートアップコミュニティに、ゲーム業界のことを直接話する機会はあまりなかったので、すごくいい機会となったし、こちらのゲームベンダー、起業家、投資家からも、質問もたくさん受けました。彼らも、スマートフォンゲーム先進国である日本の経験、実例を貪欲に学ぼうとしています。

 

セッションが終わった後、多くの人から、すごく勉強になった、いいイベントだったと声をかけてもらったので、うれしかったです。もっと日本のことを、英語でダイレクトに発信し、コミュニケーションする必要を感じました。

大きなイノベーションを探す

最近、投資の案件の相談が増えており、投資を実行するペースが少しずつ上がってきました。

すごく前から議論して投資に至ったケース、前から投資テーマとしてずっと掘ってきた領域への投資、といったものが原則は多いのですが、自分では思いつかなかったような大きなイノベーションへチャレンジするスタートアップへの投資も実行する予定です。

一時は、ソーシャルゲーム以降、大きな投資テーマがない、などと話をすることも多かったのですが、ここ半年、投資領域をリサーチしたり、北米やアジアでキーマンと話をすることで、自分の頭がすごく整理されてきました。きちんと考えていけば、まだまだ事業チャンスはあるな、と。

来週の中旬から2ヶ月日本に滞在します。既存の投資先の成長プランを練ることに多く時間を割きたいと思っていますが、普段会えない方とも、ガンガン会っていきたいと思いますので、よろしくお願い致します〜！

フェースブックアジア訪問

今日は、アイスタイルの高松さん、花王の本間さん達と、Facebook アジアパシフィックのオフィスをお邪魔しました。

 

アジアパシフィック唯一の日本人で、シニアセールスマネージャの田中さんにオフィスを案内頂きました。

人員は現在80名。オフィスの中は、西海岸にあるような、自由な雰囲気のオフィスですが、特徴だったところとして、オフィスの壁の各所に描かれています。他のテクノロジー系の会社に比べると、フェースブックの非常にクリエイティブな気質を強く感じます。部屋毎に名前がついていて、IINE（いいね）ルームも存在します。

 

アジアパシフィックのヴァイスプレジデントの方が挨拶に来て下さり、児玉さんの計らいで、この4月から、日本法人がこの間まで使っていたオフィスを、僕らのファンドで居抜きで使わせてもらっている、という話をしたら、「どうですか」、と聞かれたので、「サイコーです、楽しんで使わせてもらっています」といったら、喜んでもらえました。

Facebook名物だそうなんですが、オフィスの内に、WRITE SOMETHINGというウォールがあり、Incubate Fundと記してきましたw 。完全に中学生の修学旅行のノリになっています。世界最速成長のテクノロジー企業、アジアパシフィックのヘッドクオーター、気持ちが上がりました。是非投資先含めて、仕事を一緒にする機会があればいいな、と思いました。

 

★シンガポールでのスタートアップカンファレンス（Tech in Asia）

先週シンガポールにて開催されたTech In Asia。

 

シンガポールの学園都市にあたるBiopolisというエリアにて、韓国、台湾、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポールのスタートアップや投資家が参加するカンファレンス（500名くらいでしょうか）です。

今回、グローバルブレインやサイバーエージェントベンチャーズ等、日本からのスポンサードも目立ち、gumiの国光さんやリブセンスの村上さん含め、日本からの参加者も多くありました。お会いできた皆さん、ありがとうございました！

いくつかのセッションのメモ。

（カカオトークの共同CEO）

彼は50代くらいかと思いますが、プロ経営者といった感じで英語もウィットを交えて流暢に使います。スマートフォンのチャットサービスという、ネット系のサービスの中でも超最前線にて、経験のあるベテラン経営者がプレイする韓国勢はすごいと思いました。

 

内容としては、急成長中のカカオゲームが中心。半年前の水準に比べて今は10倍。東南アジアにも積極的にサービス展開をしていて、特にインドネシア、ベトナムのユーザとの相性がいい。今後数年を見るとカカオトークの収益の軸はどんどんゲームになっていく、とのこと。

 

面白いのはカカオトークは、強大なライバルでもある中国のテンセントからも出資を受けており、そこは気にしていないのか、買収される予定なのか、と突っこんだモデレータからの質問もありました。アジア圏では国を超えた合従連衡の動きが面白いです。

 

（バーテックスベンチャーの代表）

バーテックスは、シンガポールの政府傘下の投資会社で、アジア中のベンチャー企業350社以上投資する1000億円級のファンドを運用しています。彼は今、政府系ファンドの代表ですが、元々は1000億円規模のバイオセンサーの会社を立ち上げた経営者であり、北米・中国をブリッジする数百億円規模のVCファンドのマネジングダイレクターでもあった、というスタートアップの実地での成功者です。

 

どうやったらビリオンダラーカンバニーが作れるか、というセッションで、数千万、1億、10億円、30〜50億円、とラウンドを作ることを明確に意識しろ、とのこと。ここは日本の投資家も起業家も発想は少ないかもしれません。また、アジア市場を攻めるに当たり、初めにシンガポールとマレーシア等、エリアを限定してモデルを証明することにフォーカスしろ、といっていたことが印象的。アジアでもフォーカスが大事。こういう人が日本の政府ファンドのトップになって欲しい、と普通に思いました。

 

ちなみにビリオンダラーカンパニーとは、北米の起業家や投資家が良く使う言葉で、時価総額1000億円級の会社のことですが、起業家としての目指す企業の大きさ・成功している企業の目安として使われます。

 

（ロケットインターネット東南アジアの代表）

ロケットインターネットは、ヨーロッパ発のインキュベータ兼投資会社です。ヨーロッパでの成功をひっさげ、アジアでのベンチャー業界の台風の目的存在です。インキュベータといっても小額投資をバラまくインキュベータではなく、アジア、ラテンアメリカといった成長市場にて、Eコマースを中心に、アメリカやヨーロッパで成功した事業モデルのクローンを、大型の出資と共にチームを組成して一気に立ち上げる、というスタイルの投資を行っています。

 

今回はアジア部門の創業者であり代表が話をしていましたが、ビジネスインキュベーションという言葉の定義を変えたい、といっていたことが印象的でした。マクロ市場を見て、成長すればどんどん無尽蔵に投資する、駄目なら即撤退という実験的思考も持ち合わせています。

丁度、その後カンファレンスの招待制のクロージングパーティーにて、彼と話をしましたが、僕の日本の話も興味深く聞いてくれて、各国の市場の動きを観察している様子が印象的でした。

★更に多様化するベイエリアの投資家達

シリコンバレー、サンフランシスコ、東京の出張を終えて、シンガポールへ。

時差もあり、いろんな所を目まぐるしく移動しました。

 

しかし場所は変われど、自分のやる仕事や役目は同じです。常に起業家、投資家、出資者と対話をし続けた1週間でした。


今回初めてYCombinatorのDemo Dayに参加させて頂きました。今回5回目の開催を迎える我々のIncubate Campにとって、Ycombinatorはベンチマークであり、日本におけて同様の存在になりたい、と日々研究している対象でもあります。

初めて参加してすごいと思ったことも、こんなものかと思ったこともあります。やはり話を聞いたり、記事を読んだりするだけでなく、実際に触れてみて初めて、自

分の活動の正しさや修正点といった、ポジションがわかるものだと、改めて認識しました。


また今回、老舗から新興まで、いくつかのパターンのVCファンドとコミュニケーションしました。老舗が集うサンドヒルロード、パロアルト近辺、そしてサンフランシスコ。車で一時間足らずのエリアですが、それぞれの地域が独立しているかのように、投資ファンドの規模と投資スタイルは違います。

中でも、パロアルトの小型のVCファンドが凄く印象に残りました。VCファンドの運用における、データドリブンの重要性、属人主義の排除、グローバル、といったことを標榜していて、非常に勉強になりました（通常、VCは属人的であり、ローカルであり、感覚の商売であると言われているので）


最後の１日半は東京。ベンチャーキャピタルの勉強会、LPの会社と打ち合わせ、新しい投資先と方向性のディスカッション、既存の投資先は次なるグロースステージへの戦略作り。その間に来日中の香港やシンガポールの投資家やアクセラレータともミーティング。段々どこにいるのか、良くわからなかってきたところで、全日程終了。


移動は大変ですが、移動すると考えるスピードが上がるし、移動する中で考えがまとまることが多い気がします。多くのインプットが出来ましたので、今後のアウトプットにつなげたいと思います。

★時価総額1500億円を超えたMonotaRO社

先日ラクスルの松本さんが、MonotaRoについてポストしていたので、振り返ってみました。

 

MonotaRO社は、独立する前のファンドで創業時から投資を行っていた企業で、僕の投資家としてのキャリアに大きな影響を与えた会社です。

 

B2Bということもあり、ネット界隈では知られていませんが、全国に何十万社とある工場向けの間接資材・副資材の通信販売を行っている、巨大なEコマース企業です。 サイトも全くスタイリッシュでなく、サンフランシスコのスタートアップどころか、超大阪風です。しかしながら業績は堅実に、創業時より売上・利益は連続して右肩あがり、コマース事業だけで直近売上287億円、経常利益29億円、時価総額1500億円の水準に至っています。

 

MonotaRO社との関わりで、私が学んで大きかったことは、二つあります。 一つ目は、”事業家として何の問題を解くか”、ということの重要性です。 MonotaRO社は、何層にもわたる非効率な工場向けの流通を効率化する、という課題を創業時に設定し、その問題を今も解き続けています。

 

創業して13年経った今も、設立時に考えた事業モデルが一度も変更されていません。 事業が取り組む課題がそれ程大きく、多くの顧客が求めているソリューションだからこそ、今でも会社が右肩上がりに成長できるのだと思っています。

 

もう一つは、”優秀なビジネスマンが起業すると大きなことが出来る”、ということです。 ”何を見て投資しますかと聞かれ、人を見て投資します”　とは、良く言う話ではありますが、MonotaRO社の創業者の瀬戸さんは、僕が今まで直接投資先として関わった社長の中で、最もスーパーな人の1人です。

 

事業家としての、事業構想の大きさ、集めた資金調達額、その資金を適切に使う能力、そして遊びの部分。住友商事の鉄鋼のエースだった人でMBA取得後40歳の時に独立と、肩書き的にも優秀な人ではありますが、どちらかというと人間的な魅力に溢れる印象が強い。日本人ビジネスマンとして思いつく限り、最強に近いスキルセットと能力を持っていると思います。

 

こういった人は、起業家に限定せず広くビジネスの世界を見渡すと、少数でしょうが、どの年代にも存在すると思います。 瀬戸さんに出会えたことが、自分の投資家としての経験値となっており、今の投資哲学のコアとして非常に活きているし、優秀なビジネスマンが起業にチャレンジできる環境をもっと整えられば素晴らしいだろう、と思います。