僕自身ベンチャーキャピタルをやりながら、いつも日本市場は、中国やインドように人口規模が多くない、或いはアメリカや東南アジアのように人口増加しないから魅力的でない、とよく言われて悔しい思いをするので手に取ってみました。
人口が減る日本経済の処方箋が書いてある本かと思ったが、そうではない。処方といえば、イノベーションによって一人当たりの生産性を伸ばす、というオーソドックスな議論に留まっています。
しかしながら、処方箋はないが、人口減の悲観論で思考停止になるのではなく、どういう社会が望ましいのかを考えるには、一人当たりの生産性向上と所得の向上、平均寿命の伸長する社会、それでも必要な人口増の施策、がキーとなることを示すだけでも、今後の経済や社会のあり方を考える上で頭の整理になりました。
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多くの人が信じていること、人口の増加しないとGDP成長しない、というのは正しくない
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高度経済成長は日本の輸出が増えたことによってもたらされたものではない。高度経済成長期に純輸出の経済成長貢献は、ほぼゼロ
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高度経済成長は、労働力人口が増えたことでもたらされたものでもない
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高度経済成長 は、農村から都市への人口移動、その結果生じた世帯数の増加、そして生まれた旺盛な国内消費によるものである
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平均寿命が伸びていく社会。これが良い社会ではないか。一人当たりの所得が伸びれば平均寿命も伸びる
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過去経済学者は人口について多くの議論をしてきた。ヴイクセルによる、最適な人口の議論。“最適な人口とは、それ以上に人口が増えると平均的な福祉の水準が、もはや上がるのではなく、逆に下がってしまうような人口の水準”
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それに対してミュルダールは、“国全体で人口が減少していくと、全体の人々の生活水準に対しては絶対的な悪影響を与える。そこに絶対的な答えはない”
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一人当たりの所得を伸ばすことがいづれよせよ大事だが、それを伸ばそうと思うと、イノベーションにより需要の飽和の問題を解く必要がある
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