機内で、BBC制作の「ウォルトディズニー〜ミッキーマウスの誕生」〜を観る。
非常に面白いドキュメンタリーだった。アカデミー賞の受賞回数最多、ウォルトディズニー社の創業者。ディズニーランドの創始者。これだけ多くのことを成し遂げた人はどんな人物だったのか。今から120年前に産まれた人物である。
*10代で広告代理店での仕事につくが、当時勃興していた映画業界に魅了される。週末や休日を使って、短編のアニメーションを作り始める。
*アニメーションで皆をあっと言わせたい。常に業界で一目おかれる存在になりたいと希求していた。しかし、20歳からアニメーションスタジオを経営するが失敗。自分で成功を独り占めにする傾向があり、アニメーターは皆ライバル会社に引き抜かれる。その後、ハリウッドで再度再起した会社が、現在のウォルトディズニー社となる。ウォルトがクリエイティブ面を担当し、兄のロイが事業面を面倒を見ていた。もう1人天才アニメーターがおり、彼がウォルトのアイデアを形にしていった。
*当時はアニメーション産業の勃興期。ウォルトは30歳にしてミッキーマウスのキャラクターを作り上げることに成功。当時、ライバル会社には人気キャラクターのフェリックスザキャットがあり、それを超えるキャラクターを作る過程でミッキーが産まれる。それが世界的なキャラクターとなる。ウォルトはミッキーの産みの親で最大の友達。ウォルトは業界のスターダムに登り詰める。
*性格的には、自己顕示欲が強く、常に目立ちたいと思っていたらしい。自社のクリエイターには厳しく、自分の要求に応えられないと怒鳴りつけることもしばしば。
*儲かった収益は次の作品に全て投入する姿勢。常に新しい表現方法へのチャレンジをやめなかった。
映画を見ているうちに、ウォルトディズニーとスティーブジョブズが重なって見えてきた。
両者ともプロダクトデザインにこだわるクリエイター。元々デザインやアートに強い興味があり、自らはエンジニアやクリエイターではないが、アイデアを自らスケッチし、アニメや映画を作ることが出来る、パソコンや電子機器のパーツの組み合わせを考え、製品をデザインできる。自身もアートや技術にかなり詳しい故に、完璧を求めるあまり、エンジニアやクリエイターへ厳しくなりがち。一緒にいた働いた人のインタビューは大体、ジョブズやディズニーへの悪口になっている。そして、ディズニーもジョブズも、成功の為には、自分のアイデアを実装する天才クリエイターやエンジニアが存在し、彼らが必要だった。
両者共に、質にこだわるあまり、資金のことを忘れてしまう。こういった類いの人間は、人々の感動の閾値を超えることができ、歴史に残るような、世界の人に支持されるような、作品を残せる。
故にこういった人は資金面で苦労することが多く、ウォルトディズニーも会社を一回つぶしているし、スティーブジョブズも会社を追い出されている。ウォルトの場合は、2回目は兄のロイがいたことで、資金面で破綻せずにすんだ。作品や製品にオールインするクリエイティブ型の事業家と強い番頭。この組み合わせが、大きなイノベーションを産む必要条件かもしれない。
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