先週シンガポールにて開催されたTech In Asia。
シンガポールの学園都市にあたるBiopolisというエリアにて、韓国、台湾、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポールのスタートアップや投資家が参加するカンファレンス(500名くらいでしょうか)です。
今回、グローバルブレインやサイバーエージェントベンチャーズ等、日本からのスポンサードも目立ち、gumiの国光さんやリブセンスの村上さん含め、日本からの参加者も多くありました。お会いできた皆さん、ありがとうございました!
いくつかのセッションのメモ。
(カカオトークの共同CEO)
彼は50代くらいかと思いますが、プロ経営者といった感じで英語もウィットを交えて流暢に使います。スマートフォンのチャットサービスという、ネット系のサービスの中でも超最前線にて、経験のあるベテラン経営者がプレイする韓国勢はすごいと思いました。
内容としては、急成長中のカカオゲームが中心。半年前の水準に比べて今は10倍。東南アジアにも積極的にサービス展開をしていて、特にインドネシア、ベトナムのユーザとの相性がいい。今後数年を見るとカカオトークの収益の軸はどんどんゲームになっていく、とのこと。
面白いのはカカオトークは、強大なライバルでもある中国のテンセントからも出資を受けており、そこは気にしていないのか、買収される予定なのか、と突っこんだモデレータからの質問もありました。アジア圏では国を超えた合従連衡の動きが面白いです。
(バーテックスベンチャーの代表)
バーテックスは、シンガポールの政府傘下の投資会社で、アジア中のベンチャー企業350社以上投資する1000億円級のファンドを運用しています。彼は今、政府系ファンドの代表ですが、元々は1000億円規模のバイオセンサーの会社を立ち上げた経営者であり、北米・中国をブリッジする数百億円規模のVCファンドのマネジングダイレクターでもあった、というスタートアップの実地での成功者です。
どうやったらビリオンダラーカンバニーが作れるか、というセッションで、数千万、1億、10億円、30〜50億円、とラウンドを作ることを明確に意識しろ、とのこと。ここは日本の投資家も起業家も発想は少ないかもしれません。また、アジア市場を攻めるに当たり、初めにシンガポールとマレーシア等、エリアを限定してモデルを証明することにフォーカスしろ、といっていたことが印象的。アジアでもフォーカスが大事。こういう人が日本の政府ファンドのトップになって欲しい、と普通に思いました。
ちなみにビリオンダラーカンパニーとは、北米の起業家や投資家が良く使う言葉で、時価総額1000億円級の会社のことですが、起業家としての目指す企業の大きさ・成功している企業の目安として使われます。
(ロケットインターネット東南アジアの代表)
ロケットインターネットは、ヨーロッパ発のインキュベータ兼投資会社です。ヨーロッパでの成功をひっさげ、アジアでのベンチャー業界の台風の目的存在です。インキュベータといっても小額投資をバラまくインキュベータではなく、アジア、ラテンアメリカといった成長市場にて、Eコマースを中心に、アメリカやヨーロッパで成功した事業モデルのクローンを、大型の出資と共にチームを組成して一気に立ち上げる、というスタイルの投資を行っています。
今回はアジア部門の創業者であり代表が話をしていましたが、ビジネスインキュベーションという言葉の定義を変えたい、といっていたことが印象的でした。マクロ市場を見て、成長すればどんどん無尽蔵に投資する、駄目なら即撤退という実験的思考も持ち合わせています。
丁度、その後カンファレンスの招待制のクロージングパーティーにて、彼と話をしましたが、僕の日本の話も興味深く聞いてくれて、各国の市場の動きを観察している様子が印象的でした。
コメント