米国の起業家、ブロガー、投資家として有名な、ガイ・カワサキ氏の、ベンチャー企業運営TIPS。彼はAppleの初期のエバンジェリストだった人物である。
①Focus on cash flow, not
profitability.
利益率ではなく、キャッシュフローに目を向けよ!
you should start a business with a
small upfront capital requirement, short sales cycles, short receivables terms,
long payables terms, and recurring revenue. It means passing up the big sale
that takes twelve months to close, deliver, and collect.
初期にかかる資本が少ない事業、短いセールスサイクル、短い売掛回収サイクル、長い支払いサイクル、そして継続収入が見込める事業、で事業をスタートせよ。契約締結後サービス提供し、回収まで12ヶ月もかかるような大きい案件を避けることだ。
②Forecast from the bottom up.
Most entrepreneurs do a top-down
forecast: There are 150 million cars in America. It sure seems reasonable that
we can get a mere 1 percent of car owners to install our satellite radio
systems. That’s 1.5 million systems in the first year.
大抵の起業家は、トップダウンの将来予測をする。それはこういう事である。
そういう考え方ではなく、積上げで将来予測しなさい、ということ。
③Ship, then test.
リリースを早めよ!
④Forget the proven team.
肩書きの良い経営チームを望むな!
Hire young, cheap, and hungry
people-people with fast chips, but not necessarily a fully functional
instruction set. Once you achieve significant cash flow, you can hire adult
supervision. Until then, hire what you can afford and make them into great
employees.
若くて、賃金の安く、ハングリーな人。高速でガンガン出来る人。何でも出来る人である必要はない。キャッシュフローが安定したら、大人の監督者を採用できる。それまでは、雇用できる若い人を優れた従業員に育てあげよ。
⑤Start as a service business.
サービスビジネスでスタートせよ!
until you finish the software, you
could provide consulting and services based on your work-in-progress software.
ソフトウェア開発が終了するまでは、コンサルティングや将来の製品化を見越せるサービスを提供せよ。
⑥Focus on function, not form.
形ではなく機能に目を向けよ!
⑦Pick a few battles.
自社がやるべきことを選択せよ!
⑧Understaff
人を雇い過ぎるな!
⑨Go direct.
顧客の要求をつかむことに注力せよ!
⑩Position against the leader.
トップ製品と比較できる軸を持て!
これを読んで、シリコンバレーの起業家・投資家も考え方が180度変わってきているんだなあ、と感じる。
従来、シリコンバレーのベンチャー企業の事業計画書は、トップダウンで市場規模やマクロ環境から売上や利益を算出し、高マージンの製品・サービスで世界市場を取っていく、という流れで作られている。
このスタイルを変えろ、とガイカワサキ氏は述べているのである。ベンチャーを取り巻く経済環境が変わってきているのだろう。
しかしよく読んでみると、これは日本のベンチャー企業が普通にやっていることではないか。
利益率が低くてもキャッシュサイクルの早い事業を選択する、サービス企業が多い、受託・コンサルからスタートする、多く共通する部分である。
これまで、日本のベンチャーの問題点は、逆に受託・サービスが多く、高マージンで面を押さえるような類の製品やサービスが出にくいと言うことであり、相対的に低い評価を受けていた。それがシリコンバレーとの違いであると。
上記の項目は日本のベンチャーの運営スタイルに近い。
今のような時代、ベンチャーに求められる企業運営のスタイルや評価は変わる、ということか。
そういえば、数年前、無借金経営は資本効率が悪い、と市場で無能呼ばわりされた経営手法も、今となっては再評価を受けている。逆にレバレッジをかけた経営をしていた企業は今大変苦しんでいる。
市場環境が振り子のようにふれるように、経営手法の良し悪し(に対する評価)も時代によって違ってくる。
Ⅱでは、⑦、⑨、⑩を考えます。
コメント