インキュベイトファンド 代表パートナーのブログ（本間真彦）

不況な時代の米国のベンチャーキャピタル投資

全米ベンチャーキャピタル協会NVCA（National Venture Capital Association）から2008年第2四半期のVC投資の動向が発表された。

データから感じられることは、米国のベンチャーキャピタルの、市場環境がどのようになっても（IPO、M&Aの減少）、国内の新しいイノベーションの機会を模索し、成長するアジア市場へ投資機会を模索し続ける姿である。

シード・アーリーステージの投資動向は、以下の通り。

シード・アーリーステージの投資がVC投資総額の35％を占める、というのは、今の日本にはない状況だろう。日本の大手VCから、シード・アーリーステージを投資するのは10～15社に1社、という話を聞いている。

Seed/Early stage investing fell slightly in the second quarter to $1.6 billion into 351 deals but remained relatively even with the first quarter of 2008 when venture capitalists invested $1.7 billion into 356 deals. Seed/Early stage deals accounted for 35 percent of total deal volume in the second quarter, on par with the prior quarter.

・2008年第2四半期、シード・アーリーステージへの投資金額は16億ドルで、351社へ投資された。同時期のVC投資額全体の35％を占める。投資額、投資に占める割合共に、第1四半期とほぼ同じ（少し減少）。

The average Seed deal in the second quarter was $3.8 million, up from $3.4 million in the first quarter; the　average Early stage deal was $5.0 million in Q2, down from $5.4 million in the prior quarter.

・2008年第2四半期、シードステージへの平均投資額は380万ドル（第1四半期の340万ドル）。アーリーステージへの平均投資額は500万ドル（1四半期の540万ドル）

同様に、以下、ベンチャー企業にとっての初回の資金調達の動向である。初回の資金調達は、堅調に行われているものの、VCも少し慎重な様子が垣間見られる。

The dollar value of first-time deals (companies receiving venture capital for the first time) declined 12 percent with $1.6 billion going into 301 companies.

・ベンチャーの初回の資金調達に対する投資金額は（第１四半期に比べて）12％減少。16億ドルが301社に投資された。

The decline represents a 5 percent drop in deals from the first quarter of 2008 when $1.8 billion went into 316 first-time deals.

・案件数ベースでは、5％の減少。

First-time financings accounted for 21 percent of all dollars and 30 percent of all deals in the second quarter, compared to 24 percent of all dollars and 32 percent of all deals in the first quarter.

・ベンチャーの初回の資金調達に対する投資金額は金額ベースで全体の21％、案件ベースで全体の30％を占めた。

海外投資動向については、米国からの中国、インドへのVC投資は拡大しており、金額規模は日本のVCの年間投資額を超えつつある。

In the second quarter of 2008, U.S.-based venture capitalists invested $583 million into 47 deals in China, nearly doubling investment from the first quarter when $296 million went into 34 deals.

・中国企業への投資は、第2四半期、5億8300万ドル、47社へ投資、第1四半期よりほぼ倍増。

Investments into India by U.S. venture capitalists also jumped, rising
27 percent to $473 million going into 40 deals, compared to the $373.3 million going into 40 deals in the first quarter.

・インド企業への投資は、第2四半期、4億7300万ドル、40社へ投資。27％増加。

ベンチャーリパブリック社、ヘラクレス上場承認！

Hercules via kwout

ワークスキャピタルが、創業より関わってきた、ベンチャーリパブリック社が、ヘラクレスに上場承認されました。

副社長の柴田健一氏は、元々ワークスキャピタルの前身となるファンドに在籍しており、そこから、ベンチャーリパブリック社を、現社長の柴田啓氏と共同創業しています。

そういった意味では、日本では稀有な（日本では私の知る限り初めての）、Entrepreneur In Residence（EIR）の大成事例と言えます。シリコンバレーでは、Genentech (NYSE:DNA) がその代表事例ですが、それ程数は多くありません。

経営陣、社員の皆さんには、本当におめでとう、と言いたいです。そして、これからですね！