私個人の体験では、日本において、明確な投資対象産業を決めうちしていく(弊社の投資対象分野はココといった感じで)のは難しい。米国に比べ日本で、大きなパフォーマンスを上げるVCが少ないのも、投資分野を教科書的に絞りこめない、つまり、次はこのような業界が伸びる、といったマクロの技術トレンド・市場のトレンドと、実際のべンチャー企業が生まれるフィールドにギャップがあるからである。
例えば、過去数年の議論で考えて見ると、半導体、通信、ソフトウェア、インターネットサービス、といったターゲットエリアにおいて、Nvidia, Calico Commerce, Amazon等、実際にそのエリアにおいて、ベンチャー企業が生まれている。
日本では、同様のマクロの技術トレンド・市場のトレンドがあったにも関わらず、半導体、通信、ソフトウェア、インターネットのエリアでベンチャーが生まれた、とはいい難い。同様の時期に生まれた日本のベンチャーとしては、楽天のようなECサイトをホスティングするビジネス、SI、サイバードのような着メロや携帯ゲームベンダ、サイバーエージェントのようなネットの広告代理店、等である。
経験値から言うと、米国主にシリコンバレーでは、設備投資的なベンチャーは容認されるが、日本においてはいかに伸びるフィールドであろうと、設備投資的な企業、先行投資のかかる企業は敬遠され、アプリケーション、サービスで活躍する企業が多い。よってマクロの技術トレンド・市場のトレンドの中で、設備投資・先行投資のかかるハードウェア、ソフトウェア・パッケージ(SIではない)といったモノは抜いて考えると、日本のベンチャーの育成フィールドに近くなる、と思う。
それが結果として、こういう企業に投資する、というスタイルではなく、こういう企業があったから投資する、という受身的な投資スタイル、明確にココがイケルと言いにくい理由になっているのではないか。
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