ベンチャー企業の経営者の中には、ファイナンシャルな投資家よりも事業会社からの投資を望む人も多い。
彼らは金だけではなく、売上や技術面のサポートをしてくれるからありがたい、という話である。確かにその側面は十分にある。私の投資先でも多く事業会社の投資によって助けられているケースも多い。
しかし、今回はその事業会社から出資を受けるリスクもある、ということを述べたい。経営者は、当初彼らからの出資を受けるリスクはあまり感じないようである。実際に事業面での協業が進んでおり、資金も受けられるし事業協力もしてくれるなんて、文句のつけようのない意思決定であるように感じるのだろう。
問題は、協業における双方の意図が食い違ってきた時におこる。事業会社の本業の方針の変化、同業他社の製品やサービスの競合状況、市場環境の変化等々である。
これは1-2年のスパンで簡単におこることである。こうなった場合、事業会社の態度は大きく変化しがちである。
当たり前のことであるが、事業会社の株式保有目的は、投資先を支援することではなく、その事業会社の本業を成功させる為である。ここがファイナンシャルの投資家と事業投資家の投資へのスタンスの違いである。
事業環境はめまぐるしく変化する一方、未公開企業の株主との付き合いは非常に長い。その間に株主となる事業会社の市場環境が変化することは、万が一の可能性ではなく比較的良くある話であり、その上でも問題ないよう出資提携に望みたいものである。
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