コンテナ物語を読了。起業家ならかくありたい、と思わせる、真の起業家の突破力を感じる一冊でした。これは今起業している人全てに読んでもらいたい本。
今年ビルゲイツが2013年で最も気に入った本の1位に挙げているとGIGAZINEで見たのがきっかけで知りました。
若干冗長な部分が多いですが、起業家のストーリーと彼がもたらした社会インパクトの大きさを感じるストーリーです。
起業家の名前は、マルコム・マクリーン氏。彼は裸一環でトラックの運送会社から海運会社を作り上げた人物です。
それまでバラバラの荷積みで、港での積み降ろしも労働集約的に行っていた港湾での業務、陸上と海上が連携していなかった運送業務を、”コンテナ”という発明によって、モノの運送コストと時間を劇的に変革させた起業家です。
コンテナといっても、詰める箱だけの話ではありません。
発送元で積み込んでから、陸上を移動し、港に積み込まれ、到着先の港で積みおろされ、陸上で運ばれ、発送先へ届くまで、そのトータルのシステムそのものを変えた。モノの流通プロセス全体の話であり、変革です。
もちろんコンセプト自体は古くからは存在したとは思わますが、1人の起業家が、それを拡張した形態(陸上、海上、国際運送の統合)まで思想し、規制や反対勢力、競合と戦い、一代で現実のものとした、というところのスケールの大きさに、ただ驚くしかありません。
また昨今のアベノミクスで規制緩和が必要、日本は既得権益だらけでイノベーションが進まない、という議論もありますが、この本を見ると、既得権益がイノベーションを阻むのは日本だけの話ではないことがわかります。
本文中、アメリカにおいても、港湾、交通といった機関、ニューヨーク市といった公的な役所が、既得権益者が、いかに初期イノベーションを理解せずに反対するか、に多くの時間がかれています。
しかし一方で、マクリーン氏のような起業家が、そのような大きな勢力に対して、めげずに、前向きに起業家精神を発揮し、彼らを説得して自分の目標を達して行ったことも、我々起業家が注目すべきところであると感じました。
同じく規制産業・インフラ産業で事業をやっていること、レバレッジを使って大勝負するところは、ソフトバンクの孫さんに似ています。
日本社会がなんだと文句を言っても始まらない。スケールのデカい人に学びたいですね。
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