私の投資先企業でダイヤモンドジュエリーの販売を行うECサイト Brilliance+を提供する会社がある。
インターネット上に、日本最大の婚約指輪、結婚指輪のダイヤモンドジュエリーのデータベースを持ち、100万通りから好きなデザイン、素材、カットのダイヤモンドリングを購入することが出来るところが特徴である。
自分でこだわりを持って婚約指輪・結婚指輪を選びたいユーザや、無駄なマージンを払うのを嫌うスマートなユーザに支持を受け、業績は順調に拡大している会社である。
ダイヤモンドジュエリーをネットで買う、というと、そんな高価なものをネットで買えないという声も多いが、ダイヤモンドジュエリーは小売価格のうち、小売店舗が占めるマージンは約30%にもなり、そこを中抜きすることで得られる消費者メリットが大変大きい商品である。
又、ダイヤモンドの一つ一つにはきちんと鑑定書がついており、ブランドの小売店舗で買うダイヤモンドもECサイトで買うダイヤモンドも、大きさ、規格が同じものであれば全く同じ品質のダイヤモンドである。ちなみに私自身も婚約指輪はそこで購入したが、妻にも非常に気に行ってもらっている。
詳しくはリンクを参照。
現に米国では、同業のBlue Nileが大きく成長しており、ダイヤモンドジュエリーのビジネス単体でNASDAQに上場している状況である。Brilliance+を提供するキュー社も、日本のBlue Nileとなるべく頑張っている。
同社がBlue Nile社と同様に目指しているのが、靴の販売のECで躍進するZappos社である。本荘さんが翻訳した「顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説」の本で詳しいが、ZapposはAmazonと同様に、顧客への価値の最大化に本気で取り組む企業である。私自身も過去にブログで取り上げたこともあるが、靴というECに向かないであろう商品を扱い、ネット上での顧客満足度を追及し続ける企業である。
キュー社も婚約指輪、結婚指輪といった商品特性もあるが、顧客満足度が非常に高いことが特徴の会社である。多くの顧客からお礼や感謝の言葉を頂けることが多く、既にこれが蓄積されることが会社の最大の財産となっている。
先日、3月11日の大地震の被災地の方から、以下のようなメッセージがカスタマーレビューに書き込こまれた。
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心の中に永遠に....
平成23年3月6日が交際を始めてちょうど4年目。プロポーズはしていましたが、いい機会だと思いブリリアンス+にて指輪を購入しました。決して高い指輪ではありませんでしたが、彼女は目を潤ませて喜んでくれました。その1週間後に東日本大震災が彼女の家を襲いました。沿岸にあった彼女の家は、基礎を残して全て流されてしまいました。彼女と家族は全員無事でしたが、購入した指輪は行方不明でした。二人で何時間も探しましたが、結局見つかりませんでした。何度も謝られましたが、彼女が生きているだけで、それだけで十分です。指輪はまた買えますが、命は買えません。今は復興で指輪どころではありませんが、送った指輪は彼女の心の中で輝いていることとおもいます。いつかまたブリリアンス+で指輪を買ってプレゼントしたいと思います。
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キュー社にとって、そして同社を支援する投資家である私にとっても、なんとも胸がつまるメッセージであった。社内でこの顧客にキュー社ができることはないのか、と議論した結果、この顧客に全く同じ型と品質のダイヤモンドリングをプレゼントした。
その後、この顧客の方より連絡があり、彼女に再度プロポーズされるとのこと。うれしい知らせが届いた。
このようなことは何度もできることではないかもしれないが、ECのビジネスにとって顧客との接点は一期一会であり、その時出来る最大限のパフォーマンスを積み重ねられる企業が、今後成長できる企業だと思う。
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