先日、Founders Fundのメンバーであり、エンジェル投資家のDave McClure氏率いる、ベイエリアのウェブビジネスの起業家、エンジニア、エンジェル投資家、ブロガー一行が東京に来た。Geeksが飛行機で東アジアを旅する、「Geeks on a plane」というツアーだそうだ。
Dave氏は、「Startnomics」という、スタートアップ企業の立ち上げのノウハウや経営指標に関するレクチャーやセッションを各地行っている。
今回、東京でセッションを行い、その後上海でもやるようだ。このような国境を超えた業界交流は今までなかった動きで、すごく価値あることであるし、ためになる。出来たばかりのスタートアップ企業の企業価値、調達額、オプションに対する考え方や指標は、日本では意見交換できる人が少ない為、いろいろと話して貴重な機会となった。
いくつかセッションがあったが、個人的に一番興味を持ったのは、「US Startup Investment Market」のセッション。起業をとりまく環境に合わせて、選択と集中をするVCが産まれ、新しいエコシステムを形成しつつあること。彼の考えでは、以下のようなVC市場の分化がおこっており、それぞれの特徴にあったVCが存在する。
・Angel&Incubator:ファンドサイズ10Mドル以下。Ycombinator、Techstars等。
・Seed Fund:ファンドサイズ10-50Mドル。SoftTech、Maple Investment等。
・Small VC Fund:ファンドサイズ50-250Mドル。First Round Capital、UnionSquare Ventures等。
・Traditional VC Fund:ファンドサイズ250Mドル超。Sequoia、Benchmark Capital等。
彼の属するFounders Fundもメインの基幹ファンドは、狙いもサイズも通常のVCファンド(Small VC、Traditional VCの範疇)であるが、シードステージやインキュベーションへの投資は、別のサイドファンドを作って、人も選任で当てている。Dave氏はそのインキュベーション、シードステージ担当である。
金融不況、起業のコストの低下、ネット業界を取り巻く環境は変わっている中、米国のスタートアップ企業の立ち上がり方も変わって来ている。投資家であるVCも特徴や機能を分化させ、それに対応しようという動きのようだ。
この辺りはベイエリアの起業を支えるVCやエンジェルの創造力、柔軟さ、そして逞しさを感じる。まだ目立った動きではないが、水面下で着々を動きを続けている。
日本のVCや投資家で、そこまで努力して従来のモデルを進化させようとするプレイヤはいない。VCファンドへ出資する企業や機関投資家もそれを理解しようとしないだろう。今はベンチャーは駄目だ、日本のベンチャーは駄目だと、悲観はするが、そこで動きが止まってしまう。
株式市場が悪い、IPO市場が閉じる、成長力がある会社が少ない、という状況は、程度の差こそあれ、ベイエリアも東京も共通である。しかし彼らは、この状況を単に悲観するのではなく、どうやったらエンジェルやVCが、スタートアップ企業と組んでイノベーションを起こせるか、起業環境の改善に寄与できるか、存在感を出せるか、生き残れるか、を模索し、活動を継続している。
日本でさして大きなニュースになっていないが、未上場段階でFacebookの時価総額は100億ドル(約1兆円)を超えた。2004年に設立してわずか5年間の出来事である(参考までに、直近のマザーズ上場企業全社を合わせたの時価総額は1兆4600億円である)
今の動きによって、3-5年後に大きな差にならないようにしたい。
Your website has to be the eecltornic Swiss army knife for this topic.
投稿情報: Nainghtwe | 2012年9 月23日 (日) 13:08