本日より3日間、サンフランシスコでTechcrunch50が開始されている。
現在のウェブ・ソフトウェアのスタートアップ企業の動向を知るのに、大変良い機会である。
リアルタイムで、セッションのライブビデオが見られる。コメンテーターは、一流のソフトウェア・ネット起業家、投資家ばかりなので、彼らの視点は、起業家、エンジニアにとって、見る価値がある。
デモセッションの分類を見ると、以下のように分かれている。
・Youth and Culture(若者向けサービス、キャラクター、ポップカルチャー的なもの)
・Memes and News(ニュース、フィード、ユーザ付加情報みたいなもの)
・Enterprise(企業向け)
・Advertising & Commerce Monetization(広告、ECの収益化)
・Collaboration(ソーシャル系のサービス)
・Finance & Statistics(金融サービス、統計)
・Mobile(モバイル)
・Language & Communication Tools(言語、コミュニケーション)
・Rich Media(動画、写真等のリッチメディア)
・Games(ゲーム)
・Vertical Social Networking(専門SNS)
・Research & Recommendations(調査サービスとリコメデーション)
今回、テーマ的に切り口が面白いと思うのは、Youth and Culture、Finance & Statistics、Language & Communication Tools、Vertical Social Networking、あたり。あと、Research&RecommendationのResearchの部分も面白い。
Youthの部分は日本ではモバイルSNSが代表的であるが、北米では3Dを使ったリッチアプリケーション風。テレビのポップカルチャー的なテイストが強いようにみえる。日本では、モバイルSNSかコンソールゲームが若者に強いが、今後、リッチアプリケーション×ソーシャルの部分は、新しいサービスが生まれておかしくないと思う。
Finance & Statisticsは、今まであまり見られなかったテーマ。株のヴァーチャル市場等のサービスは、ネットバブル期にいくつかの企業が見られた。当時よりデータが集まりやすくなり、参加者が増えたことで、統計データを活用したような新しいサービスが起きるのか注目。
Languageは日本でも活性化してくると思う。コミュニケーションがリッチ化すると、教育サービスで、面白いものが生まれるような気がしている。日本発のサービスも生まれる可能性があるような気がしている。
Vertical SNSはどうか。一般的に、領域を絞るとユーザ数を獲得し難くなるが、SNSは、Mixi、モバゲーだけのものでない気もする。OpenSocial等で、横の連携が強まって動きが加速するのか。同じ人が複数のSNSを使いこなすようになるのか。
Researchもあまり聞かなかった分野。ユーザにより深い、カスタマイズされたデータを提供できる企業は、増えてきそう。データ量が豊富になることで新しく出てくるサービスもあるだろう。
パネルディスカッションでは、以下のようなテーマでセッションをやっている。
・The Role of the Angel Investor(エンジェル投資家の役割)
・Incubating Early Stage Companies(アーリーステージ企業を育てる)
・20 Tough Questions for VCs(ベンチャーキャピタルへの20の厳しい質問)
・Mastering the Top 3 Challenges of the Start-up: Financing, Recruiting and Customer Acquisition(スタートアップ企業の3つの課題、資金調達、採用、新規顧客獲得、をマスターする。)
・Exit Strategies, M&A Uncovered(投資の出口戦略。M&Aの実態)
・Hollywood Goes Silicon Valley(ハリウッドがシリコンバレーに向かう)
上記のテーマは、全てアーリーステージ向けの投資についてである。どれもこれも、日本のスタートアップ企業、投資家も同様に悩んでいるテーマばかり。
バブル期を生き残ったテクノロジー企業のIPOとM&Aは一巡し、2005年以降、テクノロジーバイアウト案件も少なくなった。
投資家も起業家も、再度一からスタート、という段階なのかもしれない。
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