11月10日(金)
(アジア各国市場の投資戦略)
Chrys Capital(インドのUS450Mドルファンド)、Ilshin Investment(韓国のPE/VCファンド。US357Mドル)、IronBridge Capital(オーストラリアのA450MUSドルファンド)、オリックス(日本)によるセッション。
(インド市場)
* インド市場は年間8%程度成長しているが、特にサービス業、製造業で年間10%超成長している。
* インドのPE市場は、US2.3Bドル市場。そのうちITサービスが27%、金融サービスが13%を占める。ディール規模は、US50Mドル以上は11%。US15Mドル以下が53%を占める。
* 投資のスタイルはグロース企業へのマイノリティ出資が中心。公開企業の流動性が非常に低い為、PE資金の半分は公開企業へ投資されている。
* 分野としては、政府のサポートが良い方向に向かっている金融サービスは有望。通信は過去5年間非常に悪かったが、段々良くなってきている。不動産も法的な問題を含むがかなり改善してきた。
(韓国市場)
* 韓国市場では、グループ企業によるM&Aが始まっている。特に大手銀行のM&Aが加速している。平均のディールサイズはUS3~6Bドル。
* 多くのメガディールは、公開入札になっており、いい案件に食い込むのが難しい。
* 主なプレイヤは、Carlyle、CVC、Citibank、Newbridge、Affinity。
(オーストラリア市場)
* オーストラリア市場は鉱山、農業が有名であるが、それらは現在GDPの10%以下を占めるに過ぎない。
* 買収案件の案件規模は、A1.4~3.5Bドルとなっており、2006年は、MAYERを含め多くの案件が成立した記念すべき年となった。M&A案件でPEファンドが関わっている割合はUKで37%だが、オーストラリアはまだ18%に過ぎない。成長の余地も大きい。
* 案件のソーシングに関しては、家族企業、グループ企業のバイアウト案件が増えている。一方、公開企業の未公開化はまだリスクが高い。公開入札は非常に競争が激しい。セカンダリーのMBO市場がこれから可能性がある。
(日本市場)
* 2000年頃からDistress企業を中心に市場が立ち上がっている。2004年頃からは、戦略的なM&Aが起こり始めた。
* 従来多くのミドルサイズの企業がファンドからの出資を嫌がっていたり、経営者の世代交代が進みにくかったりしたが、徐々にケースバイケースながらもファンド出資が長期の企業成長につながると理解してきたとこともある。
* オリックスは、地方自治体が持つ資産を中心にPublic Sectorへの出資を新しい事業チャンスと捉えている。日本の中央集権構造が崩れつつあり、地方自治体は生き残りをかけて様々な手法をとらなくてはならなくなっている。
(アジアPE市場に対するLPの視点)
CalPERS, Duke University Management Company、Industry Funds Management、Osaka Gas Pension Fund、Colony Capitalの代表によるディスカッション。
* 2006年にPEファンドは、US27Bドル調達されている。
* US1Bドル以上のメガディールは、2004年に4件、2005年3件に対し、2006年は17件あった。年次の取引総額も、2004年のUS17Bドルに対し、2006年にはUS42Bドルと上昇している。
* 日本市場の大きな変化として、海外投資家のM&Aトランザクションに占める割合が、日本市場では2002年は72%を占めていたのに対し、2006年には14%に低下している。国内の投資家が支配的になっている。又PE市場の80%をバイアウトが占めているのも特徴的である。
* それに対して、中国やインドのPE市場においては、80%以上がベンチャー・グロースキャピタル型のマイノリティ出資である。
* 日本におけるメガディールの機会は今後も増えそうだし、期待できる。海外の投資家が入り込むにはどうしたらよいのか、国内投資家が支配的な状況は今後も続くのか、といった質問があった。
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