11月8日~10日まで参加した、Asian PE/VC Forumの模様をお伝えします。
今回は北米、ヨーロッパ、中国等からPE/VCの関係者400名近く参加しており大盛況でした。日本からの参加者は10名前後かと思います。Globisがスポンサーをしており、堀さんやOrixの方がキースピーカーとして参加されていました。
11月9日(木)
(PE業界の概況)
Texas Pacific Groupの創業者のスピーチ。同グループはUS30Bドル以上運用する世界最大規模の米国PEファンド。主な買収先は、バーガーキング、Jクルー、深セン開発銀行等。
* バイアウトディールの規模において、過去トップ10のうち、9つは2005年以降に生まれたディールである。1つの例外は、KKRのRJナビスコのLBO案件である。
* ディールの市場おける北米のシェアは、10年前は70%を越えていたが、現在は30%近くまで落ちている。
* S&P500企業の内部成長率が過去5年伸びなくなっている。多くの経営者はM&Aに解を求め始めている。
* PEがターゲットとする業界は、以前より多様性を持ち始めている。過去は小売、流通といった企業が主体であったが、例えばメディア企業や通信企業といった企業もバイアウトの対象となり始めている。
* トップのメガファンドのIRRは35%を超えており、ミドルサイズのファンド・トップ5のIRRの20%、全てのミドルサイズファンドのIRRである6%を大きく超えている。
* 公開企業の未公開化投資(Public to Private)は、アジアはではまだ始まったばかりである。
* バイアウト市場においてで、トップ10のディールは、全体の市場総額の70%を占める。
* 官僚的組織の変化への要求・需要は、とても重要である。
(アジアにおけるPEファンドの運営)
KKR、TIAA-CREF(世界大手の年金ファンド。年間US550MドルをPEに拠出)、CCMP Capital Asia(Chase, MorganのPE部門のスピンアウト)の代表者によるセッション。
(KKR)
* KKRは、過去30年で145件のディールを成立させている。KKRは、グローバルではマルチセクターを対象とするが、各国別にフォーカスのセクターがあり、そこに特化している。投資委員会はグローバルに1つ。
(CCMP)
* PE業界の平均ファンドサイズは1999年時でUS831Mドル。2006年にはUS1.62Bドルに拡大した。レバレッジの為のEBITDA倍率も、1999年の2倍から、2006年の5倍に拡大している。
* 2006年は、オーストラリア、韓国のPE市場が急拡大した。
* 日本のPE市場は、公開企業の未公開化、オーナー企業の資産売却、グループ企業の資産売却、といったポテンシャルが十分ある。
* 中国のPE市場は、SEO(State Owned Enterprise)の私企業化が最も注力ポイントである。
(TIAA CREF)
* TIAAはアジアの投資においてそれなりに成功を収めてきている。しかしアジア投資のタイプは年代によって違う。1997-2000年は、Distress企業への投資、2000-2004年にかけて、バイアウト投資を実行している。2004年以降は、主に国に特化したグロース企業への投資を行っている。
* 大まかにはPan Asianファンドという戦略をとっており、ファンドサイズは市場規模によって決めている。アジアへの投資はSurpriseが必要である。
* Distress企業への投資は本当に成功した。アジアのバイアウトは公開企業投資に比べてパフォーマンスは良いが、米国よりは低い。アジアのVCファンドはUnprovenでStill Uncertainという状況。
* PE、ヘッジファンドの融合が起きている。
(中国のアジアのディール構築について)
Citi group Global Asia Market, CITIC Capital Group(中国ローカルのUS1Bドルファンド)、Affinity Equity Partners(UBS Asiaのスピンアウト。US1Bドルファンド)、Navis Capital(US500Mドルファンド)、の代表によるパネルディスカッション。
* 中国企業への投資は、25%のコントロール、6倍のリターンと一つのベンチマークとしている。
* SOEの私企業化がキー。
* マイノリティ出資に債券を絡めて出資している。
* アジア投資は、国毎に法や政治リスクが異なる。マクロでのトップダウンも重要であるが、各ローカルスタッフからのボトムアップ情報により、各国市場における比較感を持つことが重要である。
(アジアにおける技術ベンチャー企業の構築について)
Charles River, Sequoia Capital Asia, Wilson Sonsini, Globis Capital,によるセッション。
* Sequoiaの中国市場でのフォーカスは、インターネット、メディア、ソフトウェア、農業、保険である。過去の主な投資先は、C-trip、Focus Media, BaiduがNASDAQにIPOしている。
* 中国市場において、売上がUS20Mドル規模の会社、200Mドル規模の会社、2Bドル規模の会社、それぞれマネジメントスタイルや必要な社内資源が違うことを認識しなくてはならない。200Mドル規模の会社を管理できる人材が不足している。
* エコシステムにおいては、資金、人材、技術、とも日本市場は、他のアジア市場を圧倒している。もっと日本から世界を代表するベンチャーが生まれてきても良いはずだ。
* アジアにおけるVCキャリアのバックグランドとして、事業者のバックグランド、ファイナンスのバックグラウンド、どちらからもなれるが、まだきちんとしたものはない。ファイナンスバックの人が多いような気もする。
* 環境や医療は中国にとって緊急の課題。こういった分野は他の地域ではあまりない需要である。ここを専業にやっているファンドもある。
* スタンフォード大学は、第二次世界大戦後まで全く無名の大学だった。多大な政府のバックアップ、技術こそが産業を育成するという信念のもと今の地位を築き上げている。清華大学はR&D人材を大量に排出することで、戦後スタンフォード大が成し遂げたことを30-40年遅れでやれるのではないか。
(中国での提携先、買収先の見つけ方について)
Baird Capital Partners(US-ChinaブリッジのUS1.2Bドルファンド)、Johnson Electric Capital、Olympus Capital Holdings(米国のUS800Mドルファンド)によるセッション。
* 投資先で中国市場展開しやすい企業は、コンシューマ関連製品、工業製品・コンポーネント、ヘルスケア製品、ITネットワーク製品を扱う企業。大まかに中流階級市場へのアクセス、シニア市場へのアクセス、OEM先企業との提携、製造・物流・R&Dのアウトソーシング先としての展開がある。
* 提携・買収先として考えやすい企業は、金融サービス、ビジネスサービス、農業、環境システム、サービス企業一般。しかし、多くの場合オペレーションマネージャの人材が不足していて苦労する。
This makes everything so completely piansels.
投稿情報: Grace | 2012年4 月23日 (月) 12:21