日本で成功する技術系のベンチャーが少ない理由はなぜか?日本のベンチャーの性質とVCの期待収益の違いによって説明したいと思う。
日本の技術系のベンチャー(主にハードウェア企業)は良くも悪くも非常に現実的なビジネスを計画している。大抵の場合、要素技術自体は持っており、共同研究の相手や最初の顧客を見ながらビジネスを行っていることが多い。良く言えば地に足つけてビジネスを推進しようということだが、悪く言えば、その顧客を満足させることに目が行き過ぎて、先の展開を考えた製品やサービスの作りになかなかなり難い。受託体質になりがちなのである。
一方、米国の技術系の企業は、お国柄なのか、シリコンバレーという土地がそうさせているのか、或いは経営陣の国籍が多岐に渡るからか、足元の顧客の要求もさることながら、そのサービスや技術をどう普遍的に広げていくか、ということ、コンセプト作りに非常に注力しているように思う。普遍性を求めた結果、ベンチャーの段階で世界市場をターゲットとしていくことになる。
言葉のハンディキャップを考えると、普遍性、世界戦略という視点を持つこと自体が日本のベンチャー企業にはフィット感がないのかもしれない。
しかし、良し悪しはともかく、このような気質の違いによって、VCが、投資先企業に期待する、市場規模や成長性(例えば、ベンチャー設立から5年以内に世界市場を狙う)、そして利益率(普遍性を追求することによるマージンの高さ)に違いが出ることになる。
投資としての期待収益が日本ではどうしても低くなり、VCも投資をしたがらない、投資しても少ししか投資しない、ということになってしまう。
こうなると鶏卵であるが、十分な開発資金の調達ができないから、受託構造になり、受託構造になるからますます期待収益が低くなる、VCが投資できなくなる、という悪循環にはまっていく...
こんな感じである。まあ、ちょっと日本の技術ベンチャーを批判的に書いたが、もっと大きな問題がある。日本の大手企業の購買構造である。次は、このことが日本の技術ベンチャーを産みにくくしている、ということを論じたいと思う。
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