先日、普段お世話になっているIBMの勝屋さんと30名近くのベンチャー企業の経営者と、大和にあるIBM東京基礎研究所を訪問した。
IBMの基礎研究所は、3,000名の研究員からなる、IBMの頭脳といえる企業研究所だ。全世界で事業を展開するIBMでも、研究所は、東京以外には、米国に3拠点、チューリッヒ、ハイファ、デリー、北京にしかなく、歴史も非常に長い。
2008年8月号の日経エレクトロニクスの記事によれば、IBMは研究開発に毎年60億ドル以上費やし、研究所からは過去に5つのノーベル賞受賞者を輩出しているそうだ。
所長の丸山さんより、IBMが発表する将来の技術トレンドを見極める「Global Technology Outlook」について話をして頂いた。これは、IBM社内外の専門家、顧客の意見を集め、数ヶ月議論し、発表されるのだそうだ。
以下、ビジネステクノロジーに関する技術トレンドについてのトピック。
・新しいコンピュータ、プロセッサーのデザイン
⇒特定用途に合わせて最適化された、プロセッサー、サブシステム、ソフトウェアの設計。
・インターネット・スケール・データセンター
⇒データセンタの仮想化、効率化、最適化。
・コミュニティをサポートするミドルウェア
⇒企業間、企業とユーザ間のデータ共有の仕組み。セキュリティ。
・企業向けモバイル技術
⇒アフリカを含めた、成長する途上国でのインフラ技術。
この当りの技術トレンドやコンセプトは、米国のベンチャー企業やベンチャーキャピタルが事業チャンスとして狙う領域とかぶるところも多い。若干私の理解を超えている点もあったが、非常に興味深かった。
IBMはイノベーションの大家と言える企業である。多大な資金を研究開発に投入し、イノベーションが大事だということを社内外に意識的に発信しているように見える。過去ブログで書いたこともある。
現IBMのトップであるパルミサーノ氏は、イノベーションとは、inventionとinsightの融合と定義しているそうだ。
そのIBMが、社内での研究開発に留まらず、顧客との対話、ユーザとの対話を通じて、オープンな形でのイノベーション推進を行おうという方向性があるとのこと。
我々のようなベンチャー企業側は、ビジネス向けでなく、モバイルやコンシューマ向けの事業をやっている企業が多いが、ビジネス向けに研究を適用する前段階で、テストケースとしてベンチャー企業を利用して頂くなど、何らかの協業が出来れば良いと感じた。
丸山所長のプレゼンにあった本、「OPEN INNOVATION」を購入。早速読んでみたい。
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